FREEplus(フリープラス)です。
石川県金沢市の小さな不動産屋です。

とある場所に行った時のことです。
扉を開けたら、2人がこちらを向いて笑いかけてきました。
「おっ!」
「きたー!」

…なにか企んでそうです。

「お菓子食べます?」
「あ、お腹いっぱいなんで大丈夫です」
「ドイツのお菓子をもらったんですよ」
「へー、珍しい」
「なので、ぜひ」

そう言って渡されたお菓子は、細めの麩菓子のようです。
食べようとする私を、2人がニヤニヤしながら見ています。

「(食す)…。」
「どうです?」
「…素材の味が、します」
「ね、味がね」
「ありませんね」
「これ、さっきみんなで食べたんですけど酷評で。で、安江さんにも食べさせようって待ってたんです」

酷評。
そんなお菓子を勧めた本人は、すでに他のお菓子を食べています。

「やっぱ、日本のお菓子は美味しい」
「いや、ドイツにも美味しいお菓子はたくさんあるでしょう。これ子供用ですし」
「そっか、アンパンマンせんべい(ベビーせんべい)みたいなものか」
「アンパンマンせんべいが日本のお菓子として配られたら、ドイツでもこんな空気です」
「そうかも(笑)」

そして私が食べ終えるのをしっかり見届けてから、2人は帰ったのでした。
残された私が「結局、期待されたリアクションはなんだった?」と悶々としたことなどお構いなしに、あっさりと。

ふと、学生時代に新作のコントができるとニコニコ顔で私のクラスまで来て、一通りやってくれた2人組のことを思い出しました。
一度だけ「なんで(わざわざ他のクラスの)私に見せに来るの?」と聞いたら、「リアクションが正直だから」と言われました。
面白い時は破顔して笑うし、面白くない時は自分が笑えなかったことを懸命に取り繕おうとするので、分かりやすかったみたいです。
そういうところは今でもほとんど変わっていません。

そう考えると、求められたリアクション通りではあったようです。
ただ、期待を超えるリアクションではなかったとも言えます。
もし次回があったら、意外な返しができるように頑張ってみます。