FREEplus(フリープラス)です。
石川県金沢市の小さな不動産屋です。

今回は、家を売却した話です。

転勤を機に家を売却すると決め、依頼する不動産会社を探すことにしました。
気になる不動産会社はいくつかあったのですが、最寄りの会社にお願いすることにしました。
以前、賃貸が可能かどうかを相談に行った際、周辺アパートの動向からお勧めしない、とはっきり言ってくれたのが好印象だったからです。

さっそく家の査定を依頼したところ、すぐに担当者が来てくれました。
あらためて、転勤が1ヵ月先に決まっていること、出来れば転勤前に売却したいこと、他の不動産会社にはまだ査定依頼をしていないことを伝えました。
すぐに査定金額を出します、と言ってもらい、その日は別れました。

査定をしてから中2日くらいで査定報告書が届きました。
中を確認すると、想定していたよりもかなり低い査定金額が書かれていました。
転勤までに売却したい、という希望を伝えていたせいもあり、すぐに売却できる金額を提示してくれたようです。

ただ見方によっては「訳あり物件」と受け取られかねない金額でもありました。
私なら、生活の基盤である家に「訳あり物件」は好んで選びません。
相場より安くすることが早く売却するための最善策なのか、悩むところです。

すぐに、金沢市近郊で売り出し中の中古一戸建ての売却価格を調べました。
仲介では基本的に、売主さんの売却希望金額が売り出し価格になります。
これには売主さん個々の様々な事情が絡むため、周辺相場はあっても “適正価格” はありません。
これが中古住宅の売買価格の難しいところです。

悩んだ結果、不動産会社の提案価格より少し高いけれど、他の中古物件と比べると値頃感を感じそうな売却価格を設定しました。
これは数年住んでいたことによる相場感があってのことなので、今回のように早く売却したい時にはお勧めしないやり方です。
本来は不動産会社の提示金額に従うのが、早期売却のセオリーです。

売却価格を少しだけ高くしたのは、値引き交渉対策でもありました。
最初からギリギリの売却価格を設定していると、値引き交渉があっても応じることができません。
もちろん値引きできないのなら、そう伝えればいいのですが、それが理由で早期売却の機会を逃すかもしれません。
あらかじめ値引き可能額を確保しておけば、値引き交渉にも対応しやすくなると考えました。

そこで私にいちいち確認しなくても、不動産会社側ですぐに回答できるよう
「もし値引き交渉があったら、この価格までは私への相談なく下げてもらってかまいません」
と値引き可能額をお伝えしておきました。
こうしてプロに委ねる体制を整えてから、転勤準備に専念しました。

業務の引き継ぎ、転勤先での住居探し、新しいオフィスや取引先への挨拶、金沢オフィスの処分、挨拶回りなどいろんなことを同時進行で進めていきました。
そうして1ヵ月が瞬く間に過ぎようとしていました。

引っ越しのための荷造りをしながら感慨に耽っていたところ、不動産会社から内見の予約が入ったと連絡がきました。
先方の内見希望日が平日だったため、対応は不動産会社にお任せすることにしました。

その日、車の売却査定の約束があり玄関を出たら、家を覗き込んでいる男性がいました。
車に乗り込もうとしたところ「この家の方ですか?」と声を掛けられました。
「そうですが」と答えたところ、「家を見せてもらえませんか?」と言われました。
購入希望の方だと気付きましたが、これから約束があるので応対はできません。
「もう出なきゃいけないので、中は案内できませんが、外は構いませんよ」
とだけ答えて、そのまま外出しました。
車を運転しながら、こんな風に直接見に来る人もいるんだな、と驚きました。

内見の翌日、購入申込があったとの連絡がありました。
値引き交渉もなく、古いエアコンを処分することだけが条件です。
ご夫婦とも美容師をしていて、住宅ローンの事前審査は済んでおり、金額的に問題はないとのことでした。
ぜひ進めてください、と返答しました。
数日後には大阪に引っ越すというタイミングでのことでした。

大阪に赴任してからは毎日忙しく、不動産会社の担当さんとメールでやり取りしながら、古いエアコンの撤去など諸々の手配をしていただきました。
売買契約書は大阪に2通送ってもらい、指定された箇所に記名、捺印、割印して返送するなどして対応しました。
手際よくプロのお仕事をしてくれる担当さんで助かりました。

売買決済日は代休を使って帰り、レンタカーで決済場所の銀行に行きました。
買主さん(やはり家に訪ねてきた方でした)、司法書士さん、不動産会社の担当さんが一堂に介し、世間話をしながら決済を待ちます。
決済って残金が振り込まれるだけかと思っていたのですが、司法書士による本人確認や登記書類の確認があったり、着金確認後に領収書を書いたり、鍵の受け渡しをしたりして1時間以上は掛かったと思います。
意外だったのが、A銀行からの送金→B銀行の着金が即時ではなくタイムラグがあったこと。
今大きなお金が動いているんだな、と実感しました。

ともかく無事にローン残金の精算と、不動産会社への仲介手数料の支払いをして、初めての不動産売却を終えることができました。

私は買主さん(と不動産会社の担当さん)に恵まれ、さしたるトラブルもなく売却を終えることができました。
早く売却が決まったことで、安心して赴任することもできました。
私にとっての初めての不動産売却は、概ね成功だったと言えそうです。

しかし、家を売却してまで転勤したのに、数年で金沢に戻ってくることになりました。
未来は本当に予測できません。

まだまだ長くなりそうです。
次回、『賃貸マンションに住んでみた』に続きます。
よろしければ前回、『中古の一戸建てを売ってみた その①』もぜひ。