FREEplus(フリープラス)です。
石川県金沢市の小さな不動産屋です。
今回は、住宅ローンの話です。
内見後すぐに購入の意思をお伝えしたところ、売主さんからぜひにとお返事をいただきました。
新築住宅が完成し、引越しの目途が経ったら正式に売買契約です。
まだ先ではありますが、住宅ローンの審査は通しておきたいところです。
当時は超低金利で、各銀行が住宅ローンの拡充に力を入れていた頃です。
給与振込先にしていたネット銀行には自社の住宅ローンがなかったので、地元の金融機関をあたることにし、まずは県内の有力銀行に審査の申し込みをしました。
数日後、審査に必要な書類一式が送付されてきて、準備が出来たらあらためて面談の予約を取ってほしい、と書かれていました。
規定の書類に記入し、必要書類などを用意し、最寄りの店舗で面談予約をしました。
当日、窓口で住宅ローン審査の予約があることを伝え、ロビーで待つことにしました。
普段はネット銀行を利用していることもあって銀行の窓口が珍しく、平日なのに混んでるなーなどとのんびり人間観察をしてました。
ふと時計を見ると、指定された時間を5分以上過ぎています。
あれ、時間間違えたっけ?と書類を確認しましたが、特に早く来たわけでもなさそうです。
窓口はどこも忙しそうで、このまま待つしかないかと諦めた頃、最初に声を掛けた窓口の担当者が、奥から現れた若い男性に話しかけているのが見えました。
2人でこちらを見ているので、この男性が融資担当者のようです。
しばらくして名前を呼ばれ、窓口に向かいました。
人生で初めて “融資担当” の人に会うので、こちらは緊張していたのですが、あちらはそうでもなかったようで、鼻をかみながら向かい側の椅子に座りました。
「書類を出してください」と言われ、準備してきた書類一式と審査申込書を提出しました。
その担当者は提出書類を確認しながら、私が書いた申込書の上におもむろに鼻をかんだティッシュを置きました。
一瞬、怒りで頭が白くなりました。
え、失礼すぎるでしょ。銀行員って社会通念が欠如してるの?
それとも、こんなことで怒る私の方がおかしいの?
取引相手を選ぶ権利は銀行側だけでなく、私にもあります。
「この銀行からは借りない」とその場で決めました。
ですがその後、審査申し込みに慎重になってしまいました。
仕事をしていて対人スキルもあるつもりだったのに、とっさのことだったとはいえ、当意即妙な対応ができない自分の力不足を思い知ったからです。
もし転職して1年という状況でなければ、ネット銀行とかも検討できたのに。
兄から進捗を確認する電話があった際、そんな話をしました。
しばらくしてから、売主さんの新築住宅を担当している住宅メーカーの営業さんから連絡がありました。
もし良かったら懇意にしている銀行を紹介します、とのことでした。
そこは近年、住宅ローンを積極的に行っている地方銀行で県内にもいくつか店舗があり、もともと検討していた銀行の1つでもありました。
普段の私なら「自分で探すので大丈夫です」と答えたかもしれません。
住宅メーカーの営業さんがわざわざ紹介してくれるなんて、なにか理由があるに違いない。
住宅の売却益を新築住宅代金に充てる必要があるとか、お客様紹介キャンペーンで銀行からマージンがもらえるとか、などと穿って考えて「騙されまい!」と身構えたと思うのです。
ただこの時は「僕でよければ一緒に銀行に行きますよ」と言っていただき、対銀行員に不安を感じていたこともあってお願いすることにしました。
当日、待ち合わせて簡単な挨拶をした後、時間ちょうどに2人で銀行に入りました。
融資担当の方に迎え入れられ、すぐに面談が始まりました。
住宅メーカーの営業さんが事前に状況説明されていたようで、面談はとてもスムーズでした。
聞かれたのは、転職して1年程度しか経っていない点くらいでした。
面談が一段落ついた頃、こちらからも質問してみました。
「女性1人で住宅ローンを借りる人、いらっしゃいますか?」
「もちろんいらっしゃいます。そんなに多くはない(※当時)ですが」
「実際のところ、銀行としてはどうなんですか?」
「女性の方は歓迎です。きちんと返済してくださる方が多いので」
その言葉が嬉しく、縁があったらこちらで借りたいと思いました。
数日後、本審査に通ったと銀行から連絡がありました。
すぐにお礼を兼ねて営業さんに連絡したところ、すでに銀行から連絡があったそうで、
「良かったですね。売主さんも安心すると思います」と言っていただきました。
この一連の出来事で感じたのは「リアルの知り合いって、やっぱり強いな」ってことでした。
最初の銀行では、既定の書面に洩れなく記入し、必要書類を全て提出したにも関わらず、収入や家族構成を繰り返し聞かれるなど高圧的だと感じる場面もありました。
初めて会う人に融資するかどうかを決めるのですから、仕方ないことかもしれません。
ですが “住宅メーカー営業” に同行してもらって臨んだ審査は、拍子抜けするほど楽でした。
初めて会う人に融資するかどうかを決める、という審査は変わらないのに。
実は単身女性の弱点って「リアルの知り合い」なんじゃないかな、って思ってます。
ネットやSNSで情報を探したり、セミナーを積極的に活用することには長けている人が多い一方で、家を探していることを友人には内緒にしていたり、身近に有益なアドバイスをくれる知人がいなかったり。
まずは、あなたに力を貸してくれる「リアルの知り合い」を探すことをお勧めします。
友人でも会社の同僚でも親戚のおじさんでも、あなたが隠さず相談できて且つ頼れる人。
もしいないのなら、知恵も伝手もあるプロに頼るのも1つの方法です。
前出の私のように。
住みたい家にすぐ出会えればいいですが、そうでない場合がほとんどです。
「1人でやらなきゃ」と頑張りすぎていると、気力も判断力も続きません。
そのために誰かの知恵や力を上手く利用するのは、狡さではなく賢さなのです。
まだまだ長くなるので、来週以降も続きます。