FREEplus(フリープラス)です。
石川県金沢市の小さな不動産屋です。

今回は、2度目の住宅購入を決意したきっかけの話です。

大阪に赴任して2年と少しが過ぎた頃、勤務していた会社が親会社に吸収合併されると発表されました。
希望する社員は親会社に継続雇用され、私たちがやっていた業務は吸収後に規模を大幅に縮小する、とのことでした。
一介の社員である私はまったく知らされておらず、まさに寝耳に水です。

ただ継続雇用はされても、業務内容は大きく変わります。
これまでの経験が活かせるかも分からず、異業種に転職するようなものです。
吸収される側の社員、吸収する側の社員、双方に動揺が広がる中、親会社の役員が各拠点を回って説明をすることになりました。

大阪支店でも全体朝礼で経緯が説明され、その後、役員が対象社員と個別面談することになりました。
少し緊張しながら応接室に入ると、すぐに継続雇用の話になりました。
親会社への移籍を快く受け入れられない人がいるのは、理解している。
その上で、あなたには金沢への赴任をお願いしたい。
金沢支店に2年後に定年を迎える主任がおり、その仕事を引き継いで欲しいと考えている。

地元に戻れるように配慮していただいたのだと思い、
「ありがとうございます。期待に沿えるよう頑張ります」と答えて面談を終えました。
また石川県での生活が始まります。

面談後、すぐに住居を探し始めました。
新しく勤務する金沢支店は、金沢市郊外で電車やバスの便が良くありません。
車での通勤を想定して、駐車場がある賃貸物件を探す必要がありそうです。
借り上げ社宅(企業が賃貸物件を借り上げて従業員に提供する社宅制度)になるため、賃料、広さなどに一定の規定があり、その諸条件もクリアしなければなりません。

最初は、勤務地にほど近い野々市市内で探していたのですが、人気の地域でもあり、賃貸相場は総じて高めでした。
そこで隣接する白山市に範囲を広げたところ、すぐに条件に合う物件が見つかりました。
駐車場付きで、勤務地まで車で10分の1LDK。
総務からは「少し広すぎるのでは」と難色を示されたのですが、地域性だと説明して、なんとか通してもらいました。

数年後、会社が賃貸契約をする “借り上げ社宅” という制度が、いかに信用度の底上げをしてくれていたかを思い知ることになります。

この賃貸マンションに数年住んだ頃、本社から社宅規定が変更になると通知がきました。
借り上げ社宅は廃止し、あらためて個人が賃貸契約をして、定額の家賃補助を受ける制度になるとのことでした。
そこで不動産会社にその旨を連絡し、引き続き個人で契約したいと伝えたところ、
・身元保証人を2名つけること
・その2名の源泉徴収票と印鑑証明を提出すること
という厳しい条件提示がありました。

なにかあった時の連絡先としての身元保証人は理解できます。
ですが家賃保証をつけているのに、源泉徴収票と印鑑証明を要求されるとは思いませんでした。
さて、親はもう働いていないので、このマンションに住み続けるためには、友人知人の誰かに源泉徴収票と印鑑証明の提出をお願いしなければなりません。
そんな借金の保証人みたいなこと…無理です。とても頼めません。

この時初めて「賃貸って怖いな。貸し渋りって現実にあるんだな」と感じました。
自分は住み続けたいと望んでいても、誰かの意図や都合で住まいを失うことが往々に起こりうる。
結局、気に入っていたマンションではありましたが、転居することにしました。

会社契約が切れるまでに引っ越ししなければいけないため、すぐに物件を探し始めました。
車通勤なので駐車場は必須。
年に数回は出張や研修で朝早い電車に乗るので、バス便が良いところか金沢駅近く。
補助の金額を考えると、できれば家賃は抑えたい。
結局、少し古いけど金沢駅徒歩圏内で、ベランダが広い部屋に決め、引っ越しを終えました。

そうして始めた暮らしなのですが、慌てて決めたせいもあって、
・壁が薄くて、隣の住民の生活音が聞こえる
・サッシの断熱性がなくて、窓際が寒い(特に冬は厳しかった!)
・エアコン、キッチン、お風呂の設備が古い
など不満続出で、半年もせずに引っ越しを検討する羽目になりました。

なんとなくではありましたが、この引っ越しを決めた時からマンション購入は考えていました。
これまでの経験から
・賃貸に住み続けられるかは大家さん次第。住居を確保して安心したい
・やっぱり家賃はもったいない
・とはいえ一戸建ての維持・管理は、これから年を重ねていくと大変
・これから先が分からないからこそ、資産形成しないほうがリスク
・会社員の今なら、住宅ローンが借りやすい
と、考えたからです。

そこで大体の予算を決め、エリアを絞って探し始めたのです。

まだまだ長くなるので、また次回。
よろしければ前回、『中古の一戸建てを売ってみた その②』もぜひ。