FREEplus(フリープラス)です。
石川県金沢市の小さな不動産屋です。
今回は、家を売却すると決めた話です。
無事に売買が成立し、売主さんが新居に引っ越しされ、私の一戸建てでの新生活がスタートしました。
引っ越ししてすぐに給湯器が壊れたり、排水が詰まったり、台風で外壁が破損したり、急なトラブルに慌てたこともありました。
賃貸なら管理会社に電話すれば済みますが、持ち家なので自分で対応するしかありません。
まずは保険が使えるか調べ、ダメなら相見積もりを取って比較して…と段々とたくましくなっていきました。
もちろん、嬉しいこと・楽しいこともたくさんありました。
庭の紫陽花の花色が紫がかった青だと知ったり、班長さんになって近所の方と顔見知りになったり、班長会でお会いするおばあさんからお野菜をいただくようになったり。
帰ってきて玄関にお野菜が置いてあるのを見た時、言いようのない温かい気持ちになったのを覚えています。
そうして7年程経った頃、当時勤務していた会社の金沢支店が閉鎖されることになり、新設される大阪支店への転勤を内示されました。
会社を辞めることも考えたのですが、当時の上司の説得もあり、大阪に転勤することにしました。
転勤を承諾した後に聞いたのですが、新設の大阪支店は親会社のオフィスの一画を間借りすることが決まっており、それなりの精神力と対応力を求められる状況が想定されたので、慎重に人選したんだとか。
いわば選抜されたんだぞ、と役員に言われ、持ち家の各種トラブルで鍛えられたからかなと思ったりしました。
ともかく転勤まで1ヵ月程の間に、この家を賃貸に出すか、売却するかを決めなければなりません。
この頃、兄は他県で不動産以外の仕事をしていたため頼ることはできません。
まずは賃貸需要があるかを、最寄りの不動産屋さんに聞いてみることにしました。
恐る恐る中に入り、カウンターで相談したい旨を伝えたところ、奥から若い男性が現れました。
簡単な挨拶の後、転勤が決まったこと、持ち家を賃貸に出すかで悩んでいることを説明しました。
その営業さんは、私が持参した購入当時の売買契約書と重要事項説明書を見て、
「国道が近く好立地なので周辺に賃貸アパートが多く、家族向けのものは広さの割に賃料も手頃です。賃料の設定次第にはなりますが、一戸建ての賃貸は難しいかもしれません。賃貸にするのなら空室リスクは覚悟してください」
と率直に言ってくれました。
その日は名刺をいただいて、そのまま家に帰りました。
あらためて考えると、周辺のアパートはご家族で住んでいる率が高い気がします。
月々の住宅ローン返済額、固定資産税、エアコンなどの備品損料を考慮して賃料を設定すれば、周辺のアパート賃料より確実に数万円は高くなります。
それでも需要があるのかと考えると、営業さんの言った通り難しい気がします。
さらに住宅ローンを返済しながら賃貸に出せるのは、転勤などのやむを得ない状況に限り、且つその状況が解消するまでの期間だけです。
それも銀行が認めればの話で、なんらかの条件を付けられる可能性もあります。
そもそも帰ってくるかどうかも分からないのに、家を保有しておく必要はあるのか。
空室リスクの不安を抱えながら、激務になるであろう大阪での新生活がおくれるのか。
色々と考えて、家を売却することにしました。
最初に家を購入する際、特に単身だとこれから先のライフプランを考え過ぎてしまいがちです。
病気になって収入が減ったらとか、パートナーと一緒に住むことになったらとか。
ただこれはいくら考えても正確に予測など出来ません。
今回の私のように。
それなら「今のあなたは、どうしたいのか」を優先して考えるべきです。
今のあなたに必要ないなら、将来売却しやすい間取りとか、将来のパートナーが使うかもしれない部屋とかは、今考える事じゃないと割り切ってしまいましょう。
そう切り替えられれば、もっとずっとシンプルに家探しが楽しめるはずです。
私はこの家に住んでから、なにかトラブルが起きると「また私を楽しませてくれるなー」と笑う癖がつきました。
売却することにはなりましたが、私の初めての不動産購入は成功でした。
初めての不動産売却も上手くいけばいいのですが。
まだまだ長くなるので、来週以降も続きます。