FREEplus(フリープラス)です。
石川県金沢市の小さな不動産屋です。
今回は、2度目のマイホームを購入した話です。
予算的にも中古マンションに狙いを絞って探すことにしました。
毎週見ていると、各不動産検索サイトの特性もなんとなく分かってきました。
当初は不動産検索サイト、と言われるものは全てチェックしていたのですが、途中からは誰もが知っている最大手のサイトと、地元不動産会社の物件が多く掲載されているサイトの2つを中心に探すようになりました。
石川県では地域柄、マイホームといえば一戸建てが主流で、マンションはそんなに多くありません。
都市部と違い、新築マンションと新築一戸建ての価格がほとんど変わらないため、一戸建てにより需要があるのです。
その傾向は中古物件も同様で、掲載されているマンションの物件数も少なめでした。
金沢市内が希望ではあったのですが、なかなか物件が見つからないため、隣の野々市市も含めて探すことにしました。
野々市市は金沢市に比べれば、たまに新着物件があったからです。
何社もの不動産会社を介して、何件ものマンションの内見をしました。
まず1戸目はファミリータイプの3LDK。
私には持て余す部屋数でしたが、価格が手頃でした。
居住中だったのでご夫人が対応してくださったのですが、ご家族が在宅中だったこともあって、ほとんど内見できず早々に退室しました。
不動産屋として助言すると、居住しながらの売却活動はやめたほうがいいです。
知らないご家族が住んでいる家で、普通の人はクローゼットを開けたり、コンセントの位置を確認したり、壁紙の状態や床板の凹みをチェックしたりできません。
そして確認が不十分な物件をあえてマイホームに選ぶ人は、ほとんどいません。
居住中に売却できれば仮住まいの費用が掛からないのでコストは抑えられますが、そのせいで売れなければ本末転倒です。
2戸目も、3戸目も3LDKでした。
条件は問題なかったのですが、なぜか惹かれなかったので見送りました。
この「なぜか惹かれない」という感覚は人によるので、条件やスペックで決める人は気にしないかもしれません。
ですが私はこの感覚に従って正解だった、と思っています。
なかなかこれといった新着物件がなく、検索サイトをチェックするだけの日々を過ごしていたところ、すぐ近所の分譲マンションに売り物件が出たことを知らせるチラシがポストに入っていました。
これは不動産屋の常套手段で、近所に住んでいる人は購入意欲が高い傾向があるため、まずは物件周辺でお客様を探すのが定石なのです。
オープンハウス(=売り出し中の物件を予約なしで内覧できる)だったため、とにかく見に行くことにしました。
西向きの2LDKで駐車場付き。
高層階なのは魅力ですが、オーナーの趣味が前面に表れた間取りです。
玄関入ってすぐの扉を開けると、正面にオープンキッチンがあり、バーカウンターがLDKの中央近くまで張り出しています。
LDKを広く取ったせいか、2つの個室はこじんまりとしており、クローゼットも子供部屋にあるようなサイズです。
バーカウンターは不要ですが、撤去しようとすれば一部床材の張替えも必要で、その費用も見込まなければなりません。
この物件は見送ることにしました。
数ヶ月後、同じマンションに別の売り物件が出たことを知らせるチラシが入りました。
前回同様オープンハウスだったので、さっそく初日に行ってみました。
南向きの2LDKで駐車場付き。
前回よりは低層階ですが、もともと災害時などエレベーターが止まった時でも自分の足で昇降できる階、を条件にしていたので、むしろ好都合です。
このマンションは新築時に間取りの変更ができたようで、この物件もオーナーの好みが盛り込まれています。
リビングからは見えないL字型のキッチン、特注のキッチンボード、小さな書斎スペース、広いメインベッドルームとウォーキングクローゼット、収納が充実した洗面脱衣所。
そのいずれもが私にとって好ましいものです。
好ましい物件ではありますが、当初の予算を数百万円オーバーします。
ただ中古物件は買うか買わないかを早く決断しないと、他の人に先に契約されてしまいます。
どうしようか悩みながらリビングから外を眺めると、前面道路の欅がちょうど色づいていました。
-この眺め、好きだな。
それで気持ちが決まり「買付証明を書きます」と不動産会社の男性に伝えました。
男性が上司に電話をしたところ「今日、書類を持ってご自宅に伺います」と返事があり、一旦帰ることになりました。
近所にしか配っていないチラシを持って1人で見にきた女性が「すぐに買付証明を」なんて言うのですから、いろいろ確認したかったのかもしれません。
その日の夕方、男性2人が書類を持って訪ねてきました。
色々と(雑談に見せかけた)質問を受けた後、私から
「ぜひ購入したいけれど、私にとっては小さくない額の予算オーバーです。売り出してすぐの物件ではあるけれど、値引き交渉は可能でしょうか」
と聞いてみました。
オーナーはもともと自分で住むつもりで買ったが、他に持ち家があり、現在はそちらに住んでいる。
こちらは賃貸物件として運用していたが、長く借りていた人が引っ越しするので売却することにした。
オーナーは富裕層でローンもないので、少しの値引きなら応じてくれると思う。
との返事でした。
売り出してすぐの物件に値引き交渉するのは、基本的には禁じ手です。
売主がへそを曲げてしまい、その後の交渉ができなくなることもあるからです。
リスキーではありましたが助言を信じて、購入希望金額欄に「売却価格から数十万円引いた額」を記入した買付証明書を渡しました。
その日の内にオーナーが値引きを了承してくださったと連絡があり、購入が決まりました。
不動産会社から、あの後すぐに2件の問い合わせがあったと聞き「買えて良かった…」と安堵したのを思い出します。
次回、『中古マンションを買ってみた その②』に続きます。
よろしければ前回、『賃貸マンションに住んでみた』もぜひ。